ニコチン依存を引き起こす原因物質で、中枢神経系に作用し、少量では興奮作用、大量では鎮静作用を示します。喫煙により、肺から速やかに吸収され全身に広がり、間接的には血管収縮作用ももたらします。また、代謝物は発ガン性が認められています。
フィルターに茶色く付着するいわゆるヤニのようなべっとりしたもので、粒子相の総称です。タールには発ガン物質として有名なベンツピレンをはじめ、アミン類など数十種類の発ガン物質が含まれています。
酸素の180~200倍の結合能でヘモグロビンと結合します。それによって血液の酸素運搬機能が阻害され、組織の酸素欠乏を引き起こします。
ガン、脳卒中、心筋梗塞、肺気腫、胃潰瘍など喫煙は様々な疾患の危険因子となります。
近年の疫学調査により、喫煙は肺ガンをはじめとする多くのガンを引き起こすことが明らかになっています。またタバコの有害物質は肺から急速に血液中に移行し全身に広がっていくため、呼吸器疾患だけにとどまらず脳卒中、心筋梗塞、慢性気管支炎、歯周病、胃潰瘍、肌の老化までもが喫煙による影響を受ける喫煙関連疾患であることがわかっています。
女性が喫煙すると、肌への影響だけではなく、不妊になる危険性、閉経年齢が早くなる、骨粗しょう症になる可能性等多くのリスクが発生します。
タバコはお肌の大敵です
タバコを吸うと美容における多くのデメリットが発生します。肌はくすみ、シミやしわが増えていきます。また、スモーカーズフェイスという喫煙者特有の顔立ちやしわがれ声、口臭や歯・歯肉の着色等も引き起こしてしまいます。若さ、美しさを守るためには、まず禁煙からスタートすることが大切です。
妊娠中の喫煙の影響は、本人にとどまらず胎児にも影響を与えるという問題も抱えています。妊婦の喫煙によって流・早産、分娩時の異常、胎児の発育障害(低出生体重児等)、SIDS(乳幼児突然死症候群)等、喫煙者本人、胎児ともに様々な危険性が高まることが明らかになっています。
1日2箱、1年間タバコを吸うと、(300円×2箱)× 365日 ≒ 220,000円
10年間で約220万円・・・高級新車1台分!?
禁煙がむずかしいのは、タバコに含まれるニコチンへの薬物依存である[身体的依存]と喫煙習慣による[心理的依存]の2つの依存を同時に克服していかなくてはならないからです。
中脳から大脳辺縁系にいたるドパミン作動性神経を「脳内報酬系」と呼びます。ニコチンや覚醒剤、麻薬等は、脳内報酬系に作用し依存性を示すと考えられています。ニコチンはシナプス前末端のニコチン受容体に結合して、ドパミン等の神経伝達物質を過剰放出します。ニコチンによって脳内報酬系が活性化されると、多幸感・快感・覚醒効果・緊張緩和等、様々な効用を感じるようになります。
ニコチン置換療法(NRT: Nicotine Replacement Therapy)
ニコチン置換療法はニコチンパッチやガム等でニコチンを補給することで、禁煙による離脱症状を緩和しながら禁煙に導く方法です。投与するニコチン量を徐々に減らし、身体的依存を上手に克服し、最終的にニコチン製剤の使用を終了します。
禁煙すると人によって程度の差はありますが、さまざまな離脱症状(いわゆる禁断症状)がでてきます。これらの症状の多くは、ニコチンに依存していた身体の中から、ニコチンが抜けだすためにみられるものです。
いったん禁煙に成功しても、ちょっとしたきっかけで喫煙を再開することがあります。再びタバコを吸い始めたきっかけを思いだし、その対策を考えてみましょう。
禁煙すると、食欲が改善して食事の量が増すため、一時的に体重が増える場合があります。通常、2~3キログラムの増加であるならば、あまり心配することはありません。
副流煙は主流煙よりも有害です。
タバコの煙には、喫煙者が直接吸い込む「主流煙」と、点火部から立ち上る「副流煙」があります。有害成分は低温の不完全燃焼時により多く発生するため、副流煙は主流煙よりも多量の有害物質を含むことが知られています。
また、喫煙者が吸い込んだ後に吐き出す煙を「呼出煙」と呼び、副流煙と合わせて「環境タバコ煙(ETS:Environmental Tobacco Smoke)」と言います。